「バナナは太る?」は間違い!
専門家に聞く「バナナの糖質や
カロリー」

バナナはカロリーが高い、糖質が多くて太りやすいと思われがちですが、実際にどのくらいのエネルギーや糖質が含まれているかご存知でしょうか?そこで、バナナに含まれる糖質やその特徴について解説します。

バナナは太る?太らない?

【イメージ】バナナは太る?太らない?

バナナは甘いので「太るのでは?」と誤解されがちですが、意外と低カロリーであることや、バナナに含まれている糖質が太りにくい種類が多いことはあまり知られていないのではないでしょうか。

バナナは意外と低カロリー!

バナナのエネルギーは100ℊあたり93kcalで、皮をむくとちょうど1本分にあたります。バナナと同じように手軽に食べられる菓子パン1個も約100ℊですが、エネルギーは349kcal(メロンパンの場合)とかなり高カロリーです。また、おやつに食べるアイスクリーム1カップは約250kcal、クッキーは2枚で約100kcalとかなり高めです。ついつい食べてすぎてしまうおやつもバナナに置き換えるとエネルギーも抑えられますね。主食であるごはんと比較しても、ごはん一膳は100ℊ156kcalですから、バナナは意外と低カロリーだということがわかります。
※エネルギー値は日本食品標準成分表2020年版(八訂)参照

バナナの糖質はどのくらい?

バナナの糖質は100ℊあたり21.1g注1)と他の果物と比べるとやや高めですが、含まれている糖の種類が異なります。一般的に果物は糖や果糖が多いのですが、バナナはでん粉やショ糖が多いのが特徴です。でん粉とは、ごはんやパンなどにも多く含まれる多糖類の一種で、ブドウ糖がたくさんつながってできています。ショ糖はブドウ糖と果糖がつながったものです。ブドウ糖や果糖はすぐに吸収されますが、でん粉やショ糖はブドウ糖や果糖よりもゆるやかに吸収されます。
注1)日本食品標準成分表2020年版(八訂)差引き法による利用可能炭水化物値参照

ダイエット中にバナナはあり?なし?

【イメージ】ダイエット中にバナナはあり?なし?

バナナが低カロリーで太りにくい種類の糖質が多いとはいえ、ダイエット中は気になるという方もいらっしゃるのではないでしょうか。しかし、バナナが太りにくいのは他にも理由があります。

バナナのGI値は高くない

グリセミック・インデックス(GI:Glycemic Index:GI)とは、それぞれの食品に含まれる炭水化物が血糖値の上昇を引き起こす速度を表した指数のことです。低GI食品は血糖の上昇がゆるやかで、高GI食品はすばやく血糖を上昇させます。一般的に加工された食品が多いほどGIは高くなり、食品中の食物繊維や脂肪が多いほどGIは低くなります。

GIの高い食事は糖尿病や心筋梗塞などの発症率のリスクを増加させる可能性があるといわれており、日本人の若い女性の研究でも高GI+低食物繊維の食事ではBMIが高くなることが観察されています。バナナはその甘さから高GI食品と思われがちですが、食物繊維がバナナのGI値は高くない多いことからGI値は51と意外と高くありません。

穀類 GI値 果物・果物加工品 GI値 野菜・その他 GI値
白パン 75±2 バナナ 51±3 じゃがいも(ゆで) 78±4
ごはん 73±4 スイカ 76±4 里芋(ゆで) 53±2
玄米 68±4 パインアップル 59±8 さつまいも(ゆで) 63±6
オオムギ 28±2 オレンジ 43±3 カボチャ(ゆで) 64±7
スイートコーン 52±5 アップル 36±2 ぶどう糖 103±3
スパゲッティ 49±2 ストロベリージャム/ゼリー 49±3 しょ糖 65±4
コーンフレーク 81±6 オレンジジュース 50±2 ポテトチップス 56±3
ミューズリー 57±2 リンゴジュース 41±2 清涼飲料水・ソーダ 59±3

しかし、同じGIの食品を摂取しても血糖の反応には個人差があったり、実際の食事では複数の食品を組み合わせて食べたりすることから、GI値はあくまでも血糖の上昇しやすさの目安として考えるのがよいでしょう。高GI食品でもビタミンやミネラルを多く含む食品もあれば、低GI食品でも脂肪を多く含む高エネルギー食品もありますので、さまざまな食品を組み合わせてバランスよく食べることが大切です。

糖質制限中だけどバナナは食べてもいい?

糖質制限ダイエットを取り入れる時に注意することは、制限する食品の種類の選び方です。糖質制限でありがちなのは、消化・吸収されやすいぶどう糖や砂糖、中性脂肪を合成しやすい果糖が多く含まれる食品を制限するより、消化・吸収がゆるやかなでん粉や食物繊維が多い炭水化物の多い食品であるごはんやパン、麺などを減らしてしまうことです。糖質制限する場合は、まずお菓子やジュース類、ケチャップやソースなど砂糖や果糖ぶどう糖液糖を使った調味料のとり方を見直すことが必要です

糖質は身体にとってエネルギー源になる大切な栄養素です。極端に減らすことはエネルギー不足を招き、筋肉が減ってしまったり、女性は無月経や骨粗しょう症の原因にもなりかねません。主食は雑穀や玄米、ライ麦パンなど精製されていない種類を選ぶと精白米や白パンより食物繊維やビタミン、ミネラルをとることができます。バナナは吸収がゆるやかなでん粉や食物繊維が多く含まれるため、糖質制限中でも安心して食べられます。甘いものが食べたくなったらお菓子の代わりにバナナをおやつにしてはいかがでしょうか。

太りにくいバナナの食べ方

【イメージ】太りにくいバナナの食べ方

ダイエット中でも大丈夫とはいえ、どれくらいバナナは食べていいのか気になるところです。そこで、1日の目安量とおすすめの食べ方を解説します。

バナナは1日1~2本(200g以内)を目安に

「糖質制限中にバナナは食べてもいい?」でも述べましたが、ダイエット中でも食べてもOKです。ただし、大丈夫だからといって食べ過ぎはよくありません。食べ過ぎればカロリーオーバーにつながります。また、バナナはビタミンやミネラルなど多く含んだ果物ですが、それだけでは必要な栄養素がとりきれません。主食をすべてバナナに置き換えるのもおすすめできません。ごはんの糖質はでん粉中心で糖質の種類が異なります。多くの栄養素をとるためにもさまざまな食材から糖質をとるようにしましょう。

ダイエットにおすすめの食べ方

ダイエットには、「バナナヨーグルト」がおすすめです。ヨーグルトはバナナに含まれていないたんぱく質が含まれていること、また、バナナに含まれる食物繊維は乳酸菌のエサとなって腸内環境を整えます。腸内環境が整うと便通が改善し、消化吸収がきちんと行われて栄養素をしっかり体の中に取り入れることができるため代謝が高まります。ただし、バナナヨーグルトに組み合わせがちなハチミツには注意しましょう。ハチミツは果糖が多く、果糖はブドウ糖や澱粉に比べ、中性脂肪を合成させやすいため、ダイエット中は控えたほうがよいでしょう。

バナナのエネルギーが変わった?!
新しくなった食品成分表

【イメージ】バナナのエネルギーが変わった?!新しくなった食品成分表

2020年12月、食品成分表(正式には日本食品標準成分表2020年版(八訂))が5年ぶりに全面改訂されました。食品成分表とは、文部科学省が調査、公表している日常的に摂取される食品の成分に関するデータのことで、今回の改定では炭水化物の分類とエネルギー計算方法の変更などがありました。

八訂食品成分表では、消化性が高く、エネルギーになりやすいでん粉、単糖類、ショ糖などの二糖類を「利用可能炭水化物」、消化性が低く、エネルギーになりにくい「食物繊維総量」と「糖アルコール」の3成分を炭水化物としています。食品表示基準では、炭水化物量から食物繊維量を差し引いたものを「糖質」と呼びますが、八訂成分表では、「糖質」という成分は収載されていません。

また、エネルギー計算方法は、従来の成分表では炭水化物は一律4kcal/gとして計算されていましたが、今回の改定ではそれぞれの成分ごとに算出された値が採用になったことから、バナナは従来の100gあたり86kcalから少し増えて93kcalに変更になりました。これはバナナのエネルギーが高くなったわけではなく、新しい分析方法によって、より実際の摂取エネルギー量に近い値が算出できるようになったということです。

利用可能炭水化物とは?

利用可能炭水化物とは、エネルギーとして利用できる炭水化物のことで、でん粉(多糖類)、ぶどう糖や果糖などの単糖類、ショ糖や乳糖などの二糖類、マルトデキストリンなどオリゴ糖類の一部が含まれます。それぞれの消化性の違いから、血糖値の上げやすさなど特徴が異なります。

食物繊維とは?

食物繊維とは、ヒトの消化酵素で消化されない食品中の難消化性成分の総称のことです。食物繊維の機能は多様で種類によって異なりますが、多くの生活習慣病の予防に関連しており、コレステロールや中性脂肪、血糖値、血圧などの改善や、腸内のビフィズス菌や乳酸菌などの善玉菌の割合を増やし、腸内環境を整える作用があります。

糖アルコールとは?

糖アルコールは、消化性が低く、血糖値の上昇やインスリンの分泌がほとんど見られず、低エネルギーであることから、甘味料として飲料や加工食品などに多く利用されています。消化吸収されにくいことから、多量に摂取した時にはおなかが緩くなることがあります。糖アルコールには、エリスリトール、キシリトール、ソルビトール、マンニトールなどがあります。

参考文献
・文部科学省.日本食品標準成分表2020年版(八訂)
https://www.mext.go.jp/a_menu/syokuhinseibun/mext_01110.html
・厚生労働省.「日本人の食事摂取基準(2020年版)」策定検討会報告書
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_08517.html
・独立行政法人 畜産業振興機構
https://www.alic.go.jp/index.html
・Mountjoy M, Sundgot-Borgen JK, Burke LM, et al. IOC consensus statement on relative energy deficiency in sport (RED-S): 2018 update. Br J Sports Med. 2018;52(11):687-697.
・Atkinson FS, Foster-Powell K, Brand-Miller JC. International tables of glycemic index and glycemic load values: 2008. Diabetes Care. 2008;31(12):2281-2283.
・Murakami K, Sasaki S, Okubo H, Takahashi Y, Hosoi Y, Itabashi M. Dietary fiber intake, dietary glycemic index and load, and body mass index: a cross-sectional study of 3931 Japanese women aged 18-20 years. Eur J Clin Nutr. 2007;61(8):986-995. ・佐々木敏.指標の意味と臨床応用グリセミックインデックス(GI)とグリセミックロード(GL).臨床栄養.2008;113(1):41-45.
監修 柴崎 真木 先生
(管理栄養士 / 健康運動指導士 / 健康科学修士 / 経営学修士 )
一般社団法人愛知水泳連盟医科学委員

岐阜県スポーツ科学トレーニングセンター、日本スポーツ振興センター、実業団陸上部を経てフリー。日本スポーツ振興センター在職中(2008年~2015年)は競泳、柔道男子、トライアスロン日本代表などの栄養サポートを担当。リオ五輪では陸上長距離、マラソン、トライアスロン代表選手の栄養サポートを担当。現在はスピードスケート、マラソン、柔道、競泳等の日本代表からジュニアアスリートまで幅広い層への栄養サポートを行なっている。栄養サポートは科学的根拠とアスリートや指導者の感覚を大切することを心がけている。

【主な著書】
  • スイミングマガジン連載「食べて速くなる栄養学」2011年1月号~連載中
  • 「疲れやすい人の食事いつも元気な人の食事」(単行本)2016年9月,クロスメディア・パブリッシング